90年代前後に変更された主なロゴマーク
ロゴマークとは企業やブランドのイメージを図案化したものです。世の中には様々な企業が存在しますが、その多くでロゴマークを取り入れています。色々なロゴマークがある中で、昔見ていたものと変わっていると感じたケースも少なくありません。
企業によっては、時代と共にロゴマークを変えているところもあります。ここでは、有名な企業のロゴマークの変遷をいくつか取り上げてみます。
日本の大手自動車メーカーのトヨタ自動車
日本の大手自動車メーカーであるトヨタ自動車。トヨタ自動車が、TOYOTAと書かれたロゴマークを採用したのは1935年でした。翌1936年には全国からロゴマークを募集しています。その結果、カタカナで書かれたトヨタを円で囲んだ赤色のマークが採用されたのです。
それ以降、約半世紀の間、このロゴマークを使い続けました。そのため、このロゴマークに馴染みがある人も少なくありません。その後、1989年には現在のローマ字書きのTOYOTAと、エンブレムにも使われているマークとが組み合わさったロゴマークとなりました。
そして、90年代以降はこのロゴマークが使われ続けています。エンブレムにもなっているトヨタマークは、トヨタブランドを示すマークとして、先進性と信頼性を象徴するものとして設定されました。3つの楕円を左右対称に組み合わせた形ですが、楕円が持つ2つの中心点は、ユーザーとクルマメーカーの心を表しています。
2つの心が一体となって、信頼感を示しているのです。マーク内部にある2つの楕円は縦横に組まれていて、トヨタのTを表現すると同時に、ステアリングホイール、つまり自動車そのものを意味しています。初期のロゴマークと比較すると、グローバル化を意識したロゴマークへと変更されていることが分かりますね。
パソコンのメーカーの富士通
パソコンのメーカーとして知られている富士通。創業は1935年であり、当時親会社であった富士電機製造株式会社のマークを、最初のロゴマークとして採用しました。富士電機製造株式会社は、古河電気工業とドイツの電機メーカーであるシーメンス社との合弁会社であったため、古河のfとドイツのシーメンスのSとを組み合わせたロゴになっています。
1961年に富士通と社名を変更した際に、ロゴマークも社名が書かれたものに変更されました。この頃からコンピュータの製造が本格的に始まったため、ロゴの上に通信と電子の、というキャッチフレーズを記載しています。
1972年には平和を示す青色、情熱を示す赤色、純潔を示す白色というコンセプトのもと、新しいロゴマークを制定しました。そして、1989年になると国際化に伴って、英字表記のロゴマークとなりました。90年代以降は英字表記のロゴマークが使われ続けているため、富士通といえばこのロゴマークというイメージが定着しています。
カラフルな三色のものからFUJITSUレッドに変更され、エキサイティングな企業を象徴しています。そして、ロゴマークの中央には無限の可能性を表現するインフィニティマークがあしらわれました。
カメラやデジタルカメラで有名な富士フィルム
カメラやデジタルカメラなどの製造で知られている富士フイルム。近年は医療機器や医薬品の製造も手掛けていて、事業の拡大化が図られています。1934年に創業した富士フイルムですが、当初は円マークの中に富士山と、ローマ字でFujiの文字があしらわれたロゴマークを使用していました。
1960年頃になると赤枠の中に、白字でFUJIFILMと書かれたロゴマークに変更されます。この頃になると、カラーテレビが普及され、コマーシャルにロゴマークを使用するために変更されたのです。
1980年にはFUJIの文字を四角く囲ったシンプルな赤文字のロゴマークに変更され、1985年にはそれに黒文字でFUJIFILMと書かれたものが追加されたデザインへ変わっています。
1992年には赤文字のロゴマークのサイズが小さくなり、逆に黒文字でFUJIFILMのサイズが大きくなっています。
そして、2006年にはFUJIFILMだけの非常にシンプルなロゴマークとなりました。
富士フイルムのロゴマークには色々と変遷がありますが、いずれもシンプルなデザインであることが大きな特徴です。これは、コーポレートブランドのFUJIFILMをシンプルに力強く打ち出す狙いがあるからだといわれています。
食品メーカとして認知度の高い味の素
食品メーカーとして広く認知されている味の素。日本国内だけでなく世界各地にグループ企業や工場を持っています。1907年に創業した歴史ある企業であり、翌1908年に美人印を商標登録をしています。
これが初めてのロゴマークだといわれています。
昭和時代の味の素のロゴマークは個性的であり、グルグルと渦を巻いているような形をしていました。やがて90年代に入り、1999年にAJINoMoToという赤色のシンプルな文字列のロゴマークへと変更されました。
特徴的なのが頭文字であるAの文字です。このAの形は、無限大を示すインフィニティの形をモチーフにデザインされたものです。食品だけではなく医療事業なども手掛けている味の素にとって、無限の可能性を示したいという意図がありました。
さらに2017年には、世界中の人々に親しみやすく記憶に蓄積しやすい図的なロゴマークヘと変わっています。
新しいロゴマークは、Aとjの文字が太く大きくなっていることです。インフィニティの形を示すデザインはそのまま残しつつ、Aからjにかけて流れるラインに人の集まりを意味させています。さらにjの下から右上に伸びているラインで、味の素グループが未来に向けて成長・発展していくことを表しているのです。
大手ビールメーカーのアサヒビール
日本の大手ビールメーカーであるアサヒビールは、アサヒグループホールディングス株式会社傘下のグループ企業です。創業当初は、社名のとおり朝日をモチーフとしたマークがラベルに描かれていました。1985年に社内外に企業の標準化されたイメージを持ってもらう目的で、コーポレート・アイデンティティ、すなわちロゴマークを導入しました。
それまで使用してた朝日をモチーフとしたマークから、社名の文字を羅列したシンプルなものへと変更されたのです。カラーも赤色から、飲料メーカーには大切な水を示す青色へと変更されました。90年代以降もこのロゴマークが使用されているので、すっかりお馴染みとなっています。
時代と共にロゴマークも変わりました
世間の認知度が高い大手企業のロゴマークは、いずれも馴染みのあるロゴマークばかりですが、時代の流れと共に大きく変わったものも少なくありません。特に90年代前後はグローバル化が進み始めた時代でもあり、さらなる成長や認知度を上げるために変更されたものもあります。
そして、ロゴマークの変遷を知ることは、会社の歴史を知ることなのかもしれませんね。