ロゴマークをデザインする際に意識したいバランスのポイント

ブランド・企業や製品などさまざまなシーンで用いられるロゴマークは、見た目の美しさはもちろん機能面すなわち「分かりやすさ」も重要になります。造形美と機能美を両立させるには、デザイン分野におけるバランス感覚を培う必要があります。

ここでは優れたロゴマーク作りにおいて押さえておきたい、デザインのバランスのポイントについて解説します。

各要素が持つ機能・意味合いを理解した上でバランス良く配置しよう

ロゴマークに使われる要素はシンボルやアイコンなどのビジュアル的な要素、ブランド・商品名やキャッチコピーなど文字要素の2つに大別されます。ビジュアル要素はブランドや製品が持つ機能・イメージを伝える上で、文字要素は情報を伝える上で欠かせない要素です。

ロゴマークが果たす役割や、持たせる意味合いを理解した上で2つの要素をバランス良く配していくことが重要になります。デザイン的な観点から「見た目の良さ」を重視したり、クライアントに寄り添った結果情報を全て盛り込もうとしてそれぞれの要素の比重のバランスが崩れ、ロゴマーク本来の役割を果たさなくなる恐れがあるため注意が必要です。

各要素のバランスの崩壊を防ぐには、企業や製品のコンセプトを熟知した上でロゴデザインを作成することが大切です。

展開している事業がどの業界に属しているのか、その業種における製品の位置づけやイメージをデザインに反映させることは、ビジュアル要素だけでなく「伝わりやすさ」という機能面の向上にも繋がります。

アイコンに情報をしっかりと盛り込むことができれば、文字に頼り過ぎずに自由にデザインしやすくなるでしょう。

文字要素のサイズ・フォントのバランスを整えよう

情報伝達を担う文字要素は、一目で分かりやすいように配するべきです。文字サイズが小さ過ぎるとブランド名が視認できず、反対に大き過ぎると情報は伝わるもののデザイン面の良さが薄れ人々の印象に残らなくなります。

作成したロゴマークは企業・団体のビルやホームページだけでなく、SNSサービスやショッピングサイトなどあらゆるシーンで用いられます。他の会社やブランドのマークに並んでも見劣りしないのはもちろん、色んな場所やデバイスで表示してもきちんと文字情報が視認できるサイズかどうかチェックすることが大切です。

企業やブランドなどのビジネス名と、イメージや事業内容を伝えるキャッチコピーとのバランスも重要です。伝えるべき情報の優劣を考えれば、ビジネス名を重視した方が良いケースが大半でしょう。文字のサイズを大きくしたり、フォントを太くしたり色を付けて目立たせるなどさまざまな手法があります。

キャッチコピーは、ロゴの見た目を崩さない程度に情報量を絞り込んでからデザインすると良いです。

文字の表記におけるバランス感覚

フォントの種類もさることながら、漢字・ひらがなといった表記も文字のデザインには欠かせない要素です。たとえば漢字には伝統や力強さ、ひらがなには柔らかさが付与されたりカタカナにはモダンかつポップなイメージなど、文字によって付随する印象は異なります。

使用する文字によって異なる印象を熟知した上で、デザインに取り入れることが重要になります。もちろんフォントの組み合わせによっても大きくイメージが変わるため、ビジュアルが人に与える感情・印象を意識しながらデザインすることが大切です。

同様にアルファベットの表記の相違についても、ブランドイメージに大きな影響を与えます。表記の差のパターンとしては大文字か小文字のどちらかのみ、もしくは両方を併用した3つのケースが考えられます。大文字のみで構成されたデザインの場合、力強く伝統的な印象が強まるというのが一般的なイメージです。

一方で小文字のみの場合ソフトで柔軟な印象になるなど、文字の表記だけでも大きな変化をもたらすことができます。

それぞれの配置もしっかり考慮すべき

アイコンとビジネス名、キャッチコピーを配する場合はそれぞれの要素の位置関係も重要となります。大きさのバランスもさることながら、各々の位置関係によって見る人に与える印象が異なってくるからです。たとえばリラックス・癒しがテーマとなるデザインの場合、文字とアイコンの距離を離して余白を作ることにより余裕のある印象になります。

反対に空間を詰めてデザインすることで、緊張感が高まり折り目正しいイメージを与えられることでしょう。またロゴの周囲にフレームを用いて、見栄えを良くすることも可能です。ポップなデザインから由緒正しい和のデザインまで幅広く使える上に、要素が多いロゴをまとめる効果もあります。

情報量が多くてまとめ上げることに苦心した場合は、試してみると良いでしょう。なおこれまでのデザインの配置と同様に、フレームで囲む際もそれぞれの要素との距離感・空間によって印象が左右されます。単にまとまりが良くなるから使用するのではなく、配したことによって変化するイメージを意識しながら利用することが大切です。

ビジネス要素と個性のバランスも大切に

伝わりやすさ・見た目の良さを重視すればデザインのバランスを取りやすくなる一方で、平均的で凡庸なデザインになる危険性があります。ロゴマークにはブランドや製品のイメージを正しく伝達するという機能の他に、ユーザーに認知・記憶してもらうという重要な役割も担っています。

この企業ならではの個性、業界における立ち位置などをデザインに盛り込むことも重要です。事業の内容もさることながら、どのような方針でユーザーや社会に貢献している企業であるかを分析してデザインに落とし込みましょう。

企業や団体の個性を付与するテクニックの1つに、手描き風のロゴが挙げられます。描画ソフトで端正に整えられたデータにはない、独自の創造性を付与することが可能です。既存のフォントを用いずに作るためオリジナリティが溢れ、見る人の目を引く効果が向上します。

もちろん手描きによって想起される印象と、その企業・ブランドのイメージが合致している必要がある点に注意してください。

見た目・情報と、企業・ブランドイメージをしっかりと擦り合わせよう

企業・ブランドにとってロゴマークは、業界および顧客に向けて自身の事業を伝える「顔」の役割を担うツールです。デザインとしての美しさや伝わりやすさはもちろん、業界における立ち位置や事業の歴史などさまざまな要素を伝達する働きを持ちます。

アイコンやビジネス名、キャッチコピーなど各要素が担う機能・働きをしっかり把握しつつバランスよく配するのが優れたデザインを行うためのポイントです。